第47話 割れる大地、昂る海

『──本日、午前4時。地ノ国【大地の監獄】にて、巨大な地震が発生。また、同時刻、【自由の浜辺】付近に豪雨も発生しております』




わたくしはニュースを見ていた。最近はエレメンタルコードを集めが調子良く、残り一つまでになっていた。



そんな中で飛び込んできたニュース、それに言い寄れぬ何かを感じていた。自宅で紅茶を飲みながら、ニュースを眺め続ける。




『大地の監獄と自由の浜辺は同付近に存在しており、なんらかの関係性があるのではないかと言われています。専門部隊を編成し、調査に乗り出すべきかと言う意見が出ましたが、あまりの豪雨と地震による津波発生の危険性から調査は保留されております。付近住民には既に避難勧告が──』





「あらあらー。物騒な事態ねー」




 わたくしのお母様もニュースを見て目を細めていた。同じテーブルで紅茶を互いに飲みながらニュースを見続ける。



「最近噂の、シア帝国とガイア帝国の仕業かしらねー? ウミノゾアとテラゴラムを復活させるとか言ってるものねー?」





 わたくしはその両帝国と何度も戦ったことはあるが、両者共に大規模な組織であった。


 一度負けて捕まったが、アムダ君に鍛えて貰え、ラゴラゴンを仲間にし、それ以降負けはない。



 ミラーマンもホーリーマジックモンに進化し、姫マルも最終進化の奥マルになった。



 私は強くなると同時に、相手も強くなった。大将、元帥など様々な敵が出てきた。



 そして、全ての元帥まで倒すと……大元帥と言われる存在が居ることがわかった。これで最後らしく、それぞれの帝国の代表者であり設立者であるらしい。





 シア帝国とは会ったことないが、ガイア帝国の大元帥とは一度だけ、話をした。戦いはしなかったが、気になることを言っていた。




『まもなく、目覚める……国救済の願いが遂に』




 それだけ言って消えた。だが、彼らはテラゴラムを目覚めさせるために行動をしていた。



 つまりは……




 復活の手立てが出来てしまった。





「ガイア帝国、大元帥は……ブラドさんなのねー」

「お父様の幼馴染だったとか?」

「そうねー。悪い人じゃ、無かったはずだけど……シア帝国の大元帥も同じ幼馴染の人なのかしら」

「シア帝国……」







 お父様は昔、3人でいつも一緒だった。そうお母様が言っていた。お父様の友人は2人とも元ゴッドリーグテイマーだとか。





「その2人はどう言う人だったんですの……?」

「2人とも正義感が強そうって言えば良いかしらねー。悪い奴ら許せない。国を守るみたいな感じねー。愛国心が強いとも言えるわねー」





 お母様がそのように語る。しかし、そこまで見知った仲ではないのだろう。それ以上は特段語らなかった。




「テラゴラム……もし目覚めたら大変なことになるわねー」

「そうですの?」

「私は見たことないけども、過去の伝承を辿るととんでもない存在だから。グレン君の幼馴染。元ゴッドリーグテイマー、そのテイマーがずっと表舞台に立たず、探し求めるほどの魅力があると考えられるわー」

「……星を作るほどのエレモン。その片割れ」

「そうね。星を作るスタードラゴ……これがもし、本当に存在するなら恐ろしいことなの」






 確かにそうかもしれない。アムダ君のせいで価値観がおかしなことになっていたけども、そもそもLランクエレモンとは伝承や伝説、神話に登場する存在。



 伝説なんて、神話なんて……恐ろしいものに決まっている。





「スタードラゴが星を作った。その星を安定させるため、2つに分かれ大地と海を安定させた。分かれたと言っても、大地を操る存在、海を支配する存在。私達が住んでいるこの星は、大地と海でできてるわー。それが、どれほどか、想像できる?」

「それは」




 わたくしはそれを言われて、恐怖を覚えた。Gランクエレモン、ラゴラゴン。Lランクの下でもとんでもなく強い。



 大地と海、それらを操る存在。今、地震が起きて、海が荒れているのはその存在が目覚めようとしているから……




「それなら……わたくしが止めなくては」

「……貴方でなくてもいいでしょう」

「いいえ、わたくし……もっと強くなりたいんですの。だから、ちょっと行ってきますわ」





 アムダ君にも追いつきたい。



 ラゴラゴンは光系。特殊な光を駆使すれば海中でも息を吸うことができる。大地の監獄は地震が多いらしいけど、今の実力なら行けなくもない。


 どちらも場所は近いけれど、どっちから行くべきか。




「大地の監獄からの方がいいかもしれませんわね」




 



◾️◾️






 ニュースを見た。恐らく、そろそろ第一部ゲーム最終ストーリーなのだろう。


 一応はボスが出てくることになる。まぁ、裏ボスとかやり込み要素は無視するとして……


 モエはもう大地の監獄に向かってるのだろうかね。






「アムダ様、過去から戻ってきたら色々と騒がしい世の中になってますね」

「そうだね……そろそろクライマックスか」





 多分、俺が過去に飛んだ時間から、戻ってた時の時間にわずかなズレがある。




 ちょっと、時間が空いてしまってるな。まぁ、時間を超えて多少のズレで済んでるだけで凄いことなんだけど。




 ──ディザスターのステータスとか確かめたかったけど時間ないかな




「ゲーム本編じゃ捕獲できないエレモン。装備も四つまで装備できて、ステータス補正も入っている」



 ゲームではDLCボスでやたら強い設定だったけど。ステータス総合値が同ランクのエレモンとどこまで違うのか確かめたい。



 使用するかどうかは……なんとも言えないけども。





「一応、放出だけはしておこうかな」





 格納してたディザスターをエレフォンから出す。銀色のフォルム、腕には長い銃器、ワイバーンをイメージしているフォルムだとか。




 ジーググラモンを元に作成されたエレモン。しかし、




 2体のアースドラゴとの戦闘、そして、ダークヴォルニアと戦ったディザスターは流石に疲れているだろう。


 腕の銃器、翼の機械が壊れてしまっている。




「ラリラ博士、この辺りは直せますか?」

「ディザスターとかの装置は流石に厳しいですね……時間があればですけど。それだと約束していたワクチン作成とかが遅れる可能性があります。こう言った古代の機械とかは専門外なんです」





 多分だけど、元のステータスにこう言う機械類がプラスされて、更に高いステータスが生み出されていたんだろう。


 設定資料集みたいなので素の力じゃジーググラモンと変わらないと聞いたことがある。 



 機械取ってあげた方がいいのか、それとも直してあげた方がいいのか。



 俺もこう言うのは専門外だからね。ゲームならそもそも考えることすらしないような部分だしな。





「古代の技術とかに詳しい人……まぁ、それはおいおい考えるか」




 それより、物語のクライマックスを見に行こう。一応モエが心配だしね。スタードラゴ2体、クイーン、ジーググラモンとかだけで大丈夫かな?



 影にもイクリプス・ファントムが潜んでるしね




 大地の監獄とかは行ったことないからテレポート使えないし……ジーググラモンで飛んでいこう。





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