第40話 最強、故に誘い

 あぁ、なんて……なんて美しいんだ




 僕は、そう思った。アムダ様の【極マル】が放ったアクティブスキル。彼は【一番】と言っていたから何のスキルかわからない。



 恐らく、アクティブスキルの名前は僕は知っている。だが、元のスキルから著しく離れた圧倒的な威力が刀に宿っている。



 だからこそ、分からない。あの極マルが使えばどんなスキルも超常的な威力となってしまうのだろうから。




「……最高の研究対象ですよ、アムダ様」




 天才と言われた僕にも彼は理解できない。理解しようするのがおこがましいのかもしれない。それほどの……





「……こ、ここまで強いテイマーが存在すると言うの……」




ハンティングギルドの女テイマーもビビりすぎて自信喪失しちゃってます。まぁ、無理も無いです



あのグレンよりも数段上のテイマーだろうし、とんでもない差が見えたんでしょう。



あの、改造エレモンはきっと本来よりも、ステータスが引き出されるようになっていたはずだろうけど、そんなのは本物の強者には通じないんでしょう。







「ら、らご」




【ラゴラゴン】もアムダ君の実力の高さにビビっちゃってるよ。Gランクもビビらせるのは流石としか言いようがない。


それに僕も感覚が麻痺しているのが、Gランクエレモンを見てもさほど驚かなくなってしまった。



うんまぁ、毎日あの島に居たらね。この間なんて、テラゴラムと対をなすウミノゾア2体居たからね、どうなってるの? 全く……




「こ、これほどとはね……」




 カツタマ博士も言葉を失っているようだ。色んな極マルを見てきただろうけど、ダントツの上積みだろうし。


 研究者としてはこれ以上ないほどに気になるだろうね




「す、すごすぎですわ……わたくし、あそこまでなれるでしょうか?」




 グレンの娘が自信をなくすほどに、彼は、彼らは強すぎる。




「たはー、かっちょいい。エレフォンのまちうけにして。背景もアムダくんにしちゃお」



 チカさんはまぁ、注目するべき所じゃないところにちゅうもくをしているわけだけど。




 その後、女テイマーは膝をつき立ち上がることはなかった。




──女テイマーは警察に連れて行かれた




 残ったのは【ラゴラゴン】と僕達5人。






「それじゃ、このエレモンどうしますか? 僕は研究したいですが、捕獲の資格ないと思いますし。アムダ様はどうしますか?」

「お、俺は別に……捕獲はいいかなと」




 管理協会もありますしね。暫く珍しいエレモンとかは捕獲したりするつもりはないでしょう。



「カツタマ博士は捕獲しますか?」

「そうだね。捕獲の資格はアムダ君しかないだろう」




 確かにアムダ君しか捕獲の資格はないでしょう。でも、彼はそこまで欲しくはないようですし。テラゴラム二体も持ってる人からすれば当然。それに、彼ならそもそも保有しているのでしょう。



 一番は管理協会がごちゃごちゃ言ってくるからでしょうけども。




「ら、らご……」




 アムダ様が気になっているようだけど、本人はそこまでの感じでもないようだし。逃がしてあげるのがいいでしょう




「今度は捕まらないようにね……これ、あげる」




 そう言うと彼は【一つのお守り】を手渡しました。見たことのない道具だが、きっと【装備】なのでしょう。しかも強力な……これ以上捕まらないようにする為の措置でしょう。




「あの、他にも良いテイマー居ると思うし……こ、この島にも原石は居ると思う、俺ほどじゃないけど」




 相変わらず、一言多いですね。まぁ、本当のことだから咎めはしないけれども。【ラゴラゴン】はこちらをチラチラ見ながら、名残惜しそうにしていました。



 しかし、そこで今度はモエさんの方を見ました。おや、第二候補は彼女なのでしょうか?




「え、わ、わたくし?」

「らご……」

「あ、アムダ君がでも」

「俺が戦ったけど、別にいいかなと。モエならグレンの後ろ盾あるし」

「そ、そうですの?」





 暫く、悩んだ後、彼女は……ラゴラゴンを捕獲した!! ほぇー、こうなりましたか。モエちゃんも確かに原石なのは間違い無いでしょうし。




「それじゃ、俺はここで帰ろうかな。




 アムダ様の発言が少し引っかかる。までこれ以上は何も起きないみたいな発言、未来でも分かっているように聞こえました。


 しかし、これはあえてスルーしましょう。今は情報をストックする時期。




「その前に少し良いかい? お茶をしながら話をしたいんだけど」




 え、帰りたいけど……、みたいなアムダ様に対し、カツタマ博士が彼を呼び止めました。



「少しで良いんだ、お願い」

「えと、少しだけなら」

「はい! ならぼくもいく!!」

「でしたらわたくしも」



 チカさんとモエさんも、ちゃっかりついてきた。





 僕達5人は島の喫茶店に入った。カツタマ博士はお茶とケーキ、僕は紅茶とクッキー、アムダ様は紅茶とケーキ、チカさんとモエさんはアムダ様と同じメニューを頼みました




 カツタマ博士は、少し息を呑んでアムダ様に話しかけました。



「うん、アムダ君。【和ノ国】のゴッドリーグを見たことあるかい?」

「えと、はい」

「そうかい。【和ノ国】のゴッドリーグは正直言えば、【地ノ国】のゴッドリーグより活発ではないんだ」




 あー、確かにね。言われてみればそうかもしれない。地ノ国はグレンが圧倒的に人気っていうのもありますけど。


 グレンが現れてから一瞬でリーグ全体のレベルが上がったとはよく言われる。彼がダントツの力でリーグを引っ張ったらしいですからね。



「そ、そうですか」

「単刀直入に言うと……君に【和ノ国】のゴッドリーグで活躍をして欲しい」

「……詳しく」




……なるほどね。グレンが【地ノ国】を引っ張ったように、アムダ君に【和ノ国】を引っ張るゴッドリーグテイマーになって欲しいわけですか。



「……」




 モエちゃんも何が言いたいのか分かって、なんとも言えない顔をしている。しかし、彼女自身も心境の変化があったのか真剣に聞いてますね。



 正直、彼女は申し訳ないですが、グレンの【極マル】とアムダ様の【極マル】。比べたら後者の方が強いですし。箔がついてきます。



十分すぎる程の力もポテンシャルもあります。もしかしたら、グレン以上の人気を獲得するかもしれないでしょう。



【和ノ国】は確か【カツタマ博士】の故郷、自身の故郷をレベルを底上げしたい思惑は理解できます。





「俺は……」






さて、アムダ様の答えは……









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