第7話 島を作る
さて、最近報道陣がとんでもないことになっている。両親は家に帰れなくなったので、『夫婦旅』を始めると言っていた。
『それじゃ、アムダ、俺達はハネムーンを長めにしてくるから』
『ごめんねぇー、アムダも旅がんばってね』
肝が座ってるな、家に帰れないからどうしようとかではなくて……せや!! それなら旅をずっとしてれば報道陣も追いきれんやろ!!
の精神が流石だ。そんな両親だが【クイーン】が化けた人形の姿を見て目を見開いていた。
『あ、あれ? 母さん、こんな可愛い子がいたのか? アムダみたいに銀髪で可愛いな』
『もう妹ねこれは。産んだ覚えないけど、妹ねこれは』
こんなキャラが濃い両親だったとはゲームの時は気づきもしなかった。さて、それはそれとして、今俺にはある問題を抱えている。
それは俺のエレフォンに格納されている4382体のエレモンである。
そもそもとして、エレフォンにはエレモンを内部に格納しておける機能が備わっている。
だが、ずっと出来る訳ではなく一定時間で外に出してあげたり、ご飯を食べさせてあげないといけないのだ。
──格納をしておける最長期間はゲーム設定上だと一ヶ月とされている
それ以上は死んでしまうと言われている。しかしこれはゲーム上の設定であり、特に上限はない。
このエレフォンにあるのは、俺がゲームでやってた時の全部のエレモン。特別配布、最上級のエレモン、ゲームで育てた精鋭。このままにしておくわけにいかない。
だが、しかし、寮は軍隊並み、これを育てられる場所が存在していない。俺にはお金なんて無いし土地も買えない。
ならばどうするか……
島がないなら……作ってしまえばいいじゃない!!!
「よっしゃ、クイーン海に行くぜ」
『海に行くのね』
俺は【ジークグラモン】に乗って空を飛んだ。
前世でプレイしていた【エレメンタルモンスターズ・パラダイス】、通称エレパラには【島クリエイトシステム】が存在していた。
これは主人公が島を所有しており、その島を開拓したりする事ができる要素である。植物を育てたり、家を建てたり、エレモンを放って遊ばせたり、オープンワールド要素も含んでいた。
なぜ、島を主人公が持っているか……初めてプレイした時は謎であったが後々、主人公の両親は有名なエレモンテイマーでありお金持ちだったと言うのがオチである。
エレ塾の隣にいた【モエ】はゴッドリーグテイマーのグレンとホムラが両親だしね。ゴッドリーグは相当稼げるらしい。
まぁ、島なんて普通は持ってないからね。やはり親のコネは最強なのか!? と思っていたのを思い出した。なんだかんだでこの【島クリエイトシステム】は人気だったので初作から次回作、最新作まで引き継がれていた要素だった。
それゆえ、主人公の親は金持ち親だったり、別世界出身だったり、宇宙から来たりなど設定が盛られているんだけどね。まぁ、主人公だし、それぐらいは問題ないんだけどさ。
しかし、俺はそうではない。
じゃあどうするか?
答えは1つ!
島など用意できん! ならば、使おうエレモンの力を!!
──上空にて俺達は待機していた。俺の方にはクイーンが狐姿で乗っている
「さて、大陸を、国を作り出すあのエレモンの力を借りよう」
【エレメンタルモンスターズ・パラダイス】は沢山のシリーズがある。その一作目の主人公はモエだ。
そして、シリーズごとに珍しいエレモンが存在している。
その一匹は【テラゴラム】と言われるエレモンだ。
「──いくぞ! テラゴラム!!」
「GAalalalaaaaaaaaa!!」
【テラゴラム】巨大な岩などが肌から飛び出しているで全長50メートルはある。とんでもない大怪獣みたいな見た目である。
大地を操る能力を持っている。このエレモンの力を使い……【無人島】を創造する!!!
そう、俺の仮説だと無人島はテラゴラムの力を元に作り出せる。
ゲームをしていた時、テラゴラムは【大地の力】を持っているとフレーバーテキストには載っていた。しかし、ゲームではそんな力を使うことはできない。
大地を操る力を持っている、と言うフレーバーテキスト。そこからヒントを得た。
俺の4000体を超えるエレモンが住める場所をテラゴラムに作らせる!!!!!
「テラゴラム、頼む! 無人島を作ってくれ」
「GAalalalaaaaaaaaa!!」
「うむ、なんて言っているのかわからん」
──ゴゴゴゴゴ
大地が声を発しているような音が響き渡る。そして、テラゴラムの力によって、島が誕生した。
おおお!! 本当に出来てしまった!!!!
◾️◾️
「むしゃむしゃ!」
「武者マル、これ食べるか」
「むしゃ!」
俺は武者マルにリンゴ一個渡した。武者マルはガツガツ食べている。俺達は無人島で座り込み海を眺めている。
「まさか、一週間でここまでなるとは……だが、課題はたくさんだな」
「むしゃ!」
「この島をお前らが過ごしやすく、ついでに俺も過ごし易く出来るようにしないとなぁ」
「むしゃ! むしゃあぁあああああああ!!!?」
武者マルが急に大きな泣き声を上げて、俺の後ろに隠れた。なぜかと言うと目の前の海から巨大な怪獣が現れた。
テラゴラムである。
今や、4000体を全て放出できるほどに無人島は大きくなった。しかし、まだまだ課題が沢山存在している。
この島をどうにかして、エレモンの過ごしやすい場所にしないといけないのだ。まず第一として、系統ごとに住みやすい場所がエレモンは違う。
ゲームの【島クリエイトシステム】でも系統ごとに違った施設を作ることで喜ぶ演出があったりした。
俺はそれをここでもやりたいのだが、どうにもお金などは持っていない。ゲームだと意外とあっさり発展材料とか手に入るんだけどね。
まぁ、お金稼ぎはする必要がゲームでもあったけども。
それにしても……本当に立派な広い島だと分かる。凹凸はあるが、広く雄大な場所である。大きさは直径で10キロはあるだろう。
しかし、少し殺風景な気もする。
「先ずは植物とかを充実させたいな。ゲームの時は
兎に角、お金が必要だろう。何もするにもお金が必要だ。
ゲームだった時はテイマーと勝負したらお金を貰えるんだけど……チマチマ勝負してもねぇ。
──そう思った時に、俺はハッとした
「そういえば【大会】があったな」
【大会】。ゲーム内で開催されている大規模【エレモンバーサス】のことである。
「ゲームだと、不定期開催と定期開催の両方があったな」
ゲーム内でいつでも参加できる大会とランダムに開催される大会があった。高額な褒賞がもらえるのは後者であるのだが。
【大会】もゲームの人気要素の一つだった。トーナメントで優勝すれば大金やレア装備なども手に入る。特に不定期開催の難易度が高いものだと額もアイテムもそれなりになってくる。
ただ、不定期開催だと難易度が跳ね上がってしまう。
──明らかに序盤で優勝できないだろ!! みたいな内容だったり、
──クリア後でも難しいだろ!! とか、ある程度やり込んでおかないと絶対に優勝できないものだったりね。
「優勝はできるが……これ以上、面倒なことになるのは嫌だな……。裏垢にまたDM来られても嫌だし……まぁ、お金が貰えるならいいか」
──俺は大会に出るぞ!!
「あれ! アムダ君じゃん! モエ! アムダ君だよ」
「アムダ君、久しぶりですわね」
ひぇ、もう一人のライバル枠チカと主人公モエも大会に出るのかよ……
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