第13話
暫くの間、そうしていて。
(……このままだと、寝るな。)
動かなくなった遠藤の呼吸を肩で感じながら、どうするべきかと思案する。
諦めて、ソファに横にするべきかな、と自己完結したところで、
呼吸音が変わり、何か遠藤が言っているように感じた。
ゆっくり、聴きとろうと後頭部に耳を寄せようとした時。
「…っ、」
勢いよく顔を上げた遠藤。
瞬間それを失い、戸惑いを宿した瞳で自分の唇をつけた。私の額に。
(……そういうとこ、遠藤だな、)
「……してないか?」
「……?」
「…後悔、してないか…」
「……。」
不安に揺れるそれは、一瞬私を映し、すぐに逸らされた。
(後悔…、)
「…してたら、こうやって過ごしてると思う?」
「……、」
「遠藤。あの時のことも、言葉も、私は助けられたわ。」
それも、分かってなかったの?と視線を合わせにかかると。
遠藤は、ん、ありがと、とすぐ目線を下げて頷いた。
(一瞬しか、合わなかった。)
すると、
「あー、ちょっと起きたわ。」
言いながら、大きく背伸びをし、片膝を立てて、もう一方を倒した。
わるい、膝痛かったろ、と私の手を取って、隣に促すのも忘れずに。
「ベッド行かなくていいの?」
「ん?や、もう遅くなったし、いーよ。」
ベッド行くと、帰れなくなるし、と言い、いつかに放ったスマホを拾い、
げ、こんな時間か、と苦笑している。
(………。)
「…泊まらないの?」
「……え、いいの?」
「……今更じゃない?明日、休みでしょ?」
「…っ、まぁ、そうなんだけど、」
「(なんか、動揺してる。)」
帰ろうが、すぐそこだから、そんなに変わらないとは思うんだけど。
まぁ、好きにしていいよ、と遠藤の立てられた膝にもたれて、目を閉じてみる。
少し、動揺はあったものの、緩く受け入れられ、軽く髪を髪を梳く。
「……華城って、意外とあざといよな…」
「(…あざとい?)」
じゃあ、お言葉に甘えます、と預けた頭を一撫でした。
「遠藤。」
「…ん?」
「疲れてんなら、言いなさいよ。」
「ん?」
「顔、酷いわよ。私、あんた手伝う余裕はあるから。」
「……、」
「なに?」
「いや、ありがと、いつも。」
優しく触れた手は、少しあたたかかった。
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