第8話
こう見えても、遠藤は料理男子で、特に肉じゃがが美味しい。
今日は、なんかいいことでもあったのか、得意料理を振る舞っている。
「相変わらず、美味しい。」
「そっか、良かった。」
「…毎回、悪いわね。」
「いや?全然?」
当然のように、言ってのける。
もう、きっと、私より、うちのキッチンを把握している気がする。
「あ、そう言えば、あれなくなったから、今度買っておくな。」
「(……あれ、)」
「あれだよ、あれ。」
「あー、うん。あれね、お願い。」
あれが何か分からず、聞き返すのも面倒だったので、お金は、あとで払うわと続ければ。
「おい!諦めんな!」
「いや、(…お前がな)」
「あー、でてこない。でも、買っとく。」
「ん。よろしく。」
おそらく、調味料の何かだろう。
(あ、そう言えば。)
「今日、お風呂溜める?シャワー?」
「……っ」
「だから、なんで、今更。」
「いや!俺には、色々あんだよ…」
もう、何度目か分からない会話に、毎回同じ反応をする遠藤。
顔も若干、赤みを帯びている。
きっと。世の人々は。
(こういうところに、惹かれるのだろうな。)
赤いわよ、と遠藤の頬に手をのばせば。
びくりと、反応し、睨まれる始末。
でも、
「……っ」
その手を掴んだまま、離さない遠藤。
熱を帯びた視線ととともに、向けられたそれは。
(私には……、)
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