第45話

と、佐々木さんが





「ま、とりあえず飯だな。腹減った。」





さっきの空気を一掃するように、空気を変える声が響いた。








「…ありがとうございます。」




「、え。何それ。」




「え、作ってくれるんですよね?今の言い方は。」




と言いながら口元を少し緩める。




とりあえず腹減ったって言っただけだろー、なんて言いながら、頭を小突く。





「ふふ。嘘ですよ。作ります。今日は、何がいいですかー?」






カラカラと音をたてながら開く扉を開く。



そして、いつの間にか拘束を解かれていた体を中に滑り込ませる。





内からの光で反射する佐々木さんの表情を見ることも忘れずに。





呆れ半分、安堵半分。







「や、いつも作ってもらってるし、俺作る…ていうか一緒作ろーぜ。」




俺、パスタ以外作れねーし、とか言いながら私の後を追ってくる。






そう、長く一緒にいるようになり気づいたこと。



最初の日、お店ででてきそうなパスタをだした佐々木さんは実はパスタ以外作れなかったりする。




これも、完璧と言われる佐々木さんの姿である。








「そうですね。何にしますー?」




「んー、じゃあ和食。」




「……広いですよ。」







そんな会話をしながらキッチンに向かう。



さっきの時間が嘘みたいに、まるで何もなかったみたいに接してくれる。





(…すみません、佐々木さん。)






音にはできない言葉を無意味に吐き出す。



すごく、ずるい。わかってる。




私のしてることは。

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