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 波の音が永遠みたいにつづいていた。


 ライターで灯した小さな火はみるみるうちに大きくなり、うねる生きもののように勢いを増して海沿いを照らした。爆ぜる火の粉はこまかに舞って、紙ふぶきみたいに砂浜に落ちていく。


「晴野くん」


 美夜子はいつものようにぼくを呼んだ。火を見つめていた顔がこちらを向いて、その顔の片がわだけが炎のあかるさに晒される。光る頬の遠くに夜の暗さがあって、それはどこまでが空でどこからが海なのか、ほとんど彼女でいっぱいの視界では、区別ができなかった。


「ありがとうね」


 美夜子が少しだけ傾けた首の先で、鎖骨の下まである髪が肩からこぼれ落ちる。炎の橙が移ったみたいに、真っ黒であるはずの髪の先がまばゆくかがやいた。ぼくにお礼など言ったあと、美夜子はその目をきっぱりひらいてまた炎を見つめはじめた。夜の暗がりの中で火に照らしだされた横顔が、炎の揺らぎに合わせてまたたくのが月の満ち欠けみたいに美しかった。

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