ending:
ending:
波の音が永遠みたいにつづいていた。
ライターで灯した小さな火はみるみるうちに大きくなり、うねる生きもののように勢いを増して海沿いを照らした。爆ぜる火の粉はこまかに舞って、紙ふぶきみたいに砂浜に落ちていく。
「晴野くん」
美夜子はいつものようにぼくを呼んだ。火を見つめていた顔がこちらを向いて、その顔の片がわだけが炎のあかるさに晒される。光る頬の遠くに夜の暗さがあって、それはどこまでが空でどこからが海なのか、ほとんど彼女でいっぱいの視界では、区別ができなかった。
「ありがとうね」
美夜子が少しだけ傾けた首の先で、鎖骨の下まである髪が肩からこぼれ落ちる。炎の橙が移ったみたいに、真っ黒であるはずの髪の先がまばゆくかがやいた。ぼくにお礼など言ったあと、美夜子はその目をきっぱりひらいてまた炎を見つめはじめた。夜の暗がりの中で火に照らしだされた横顔が、炎の揺らぎに合わせてまたたくのが月の満ち欠けみたいに美しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます