第37話

「あいつ期待の新人エースだよな?」




「あぁ、春休みの時から練習に参加しているやつだ」



俺の問いに義一が答える

そしてふと奴が手を振っていた方向を

見上げた時、また見つけてしまった





さっきぶつかった彼女が笑ってこちらを

眺めていた



あぁ・・これはもう逃したくないな。



知り合いがいるならなおさら

チャンスがある。




「お前は試合前に調子乗り上がって!!」




「イテッ!さーせんって!

先輩痛いっすよ!!」




「翼それぐらいにしてやれよ」




「たくっ!集中しろよ!!


・・・義一?おい、大丈夫か?」



振り返った翼が義一に近づく



俺もその声で義一を見ると

普段あまり変化の見られないやつの顔が

歪んでて今にも泣きそうだった




「どうした?具合でも悪いのか???」




普段は見られない様子に俺も翼も焦る




「っ・・・いやなんでもない。

始めよう。」




そういって冷静さを取り戻そうとする

義一の視線はさっき新人が見ていた方向だった

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