prologue

第1話

ぺらり、ぺらりと静かな空間に本をめくる音が響く




それをめくっているのは、この静かな空間の主・轍 文わだち ふみ




彼女は、とても本が好きで少しの間でも本をめくっていた




ただただ、本をめくっていた静かな空間をぶち壊す扉の開く音と人の声




「文、飯をくれ!」




「俺カレー」




「あたしオムライスがいい!」




「俺は、、、」




続々と入ってきた人物が思い思いの食べたいものを口に出す




文はめくっていた本を閉じ、そこに視線を向ける




『またですか』




そう口を動かしても、それが音となって誰かの耳に届くことはない




一人を除いて




「そう言うなって、俺と文の仲だろ?」




『どういう仲ですか。いつもいつもご飯を食べに来て、家で食べればいいでしょう』




「文のご飯がいいんだよ」




『、、、分かりました。せめて1つに統一してください』




「おう!」




おーい、お前らー




とさっきまで静かだったのが噓のように騒がしくなった空間




座っていた席を立ち、キッチンに向かう




騒がしくなった空間にため息をついた文だが、その表情は柔らかかった






これは声の出ない少女と騒がしい少年少女たちの物語

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