第83話

ユキは何も言わない。



でも涙も止まらない。



『聞いてんのか?ユカにお前何言ったか分かって言ってんのか?』



リョウは立ち上がり、ユキの胸ぐらを掴んだ。



『ちょっ!リョウっ何や…っー…』



リョウの手をユキの胸ぐらから離そうとした時に



リョウの拳が私の顔を勢いで殴った。



ユキは黙ってリョウの顔を見る。



リョウは殴った拳を見てから私を見て



『ユカごー…』



リョウの言葉はレントが駆け付け



『リョウ!何やってんだテメェ!』



の声で聞こえなかった。



レントはリョウの両脇から腕を入れてユキから引き離す。



唯一の救いはユウヤがお客様を送りに行っていなかった事。

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