第89話

スーパーに入って、買い物かごを右手に提げる。



わ、苺、美味しそうだなぁ。つやつやに真っ赤に光っていて、とてつもなく、甘そう。



買っちゃおうかなぁ。



でも、ひとりで食べるのもな…



持ち上げたパックを迷って、棚に戻した。



あ!アスパラ安い!コーン缶といっしょにバターで、炒めよう。



献立をなんとなく立てながら、アスパラをかごへ。



…と、



横から伸びてきた手が、私が持つかごの中に入れたばかりのアスパラを取り出した。



反射で、その手のひらの持ち主の方へ、視線を移した。




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