第72話

…それに海乃さん、起きたときに誰もいなかったら、淋しいでしょ?ここ、来たばっかりだし。



さも、当たり前のように言ってのける、横顔。



…やっぱり、キレイだ。



……、



思わず、コトバを失くした私に。




「どした、のー?からかってないけどー?」



小首を傾げてみせる姿は、相変わらず、自由奔放な猫のよう。



金髪の前髪が、伊織くんの動きに合わせて、ゆるり、と揺れた。



腕の中にぎゅっと抱き締めたとしても、1秒だって、じっとはしていない、猫。




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