第50話

「あー、なに、笑ってんすかー」



なんて、相変わらず気怠い口調。



それさえも、なんだか、可愛らしい。



ドアの前にたどり着いた私に。



なに、考えてんすかー。



仏頂面で、問いかけたりする、から。



「…ん?伊織くん、案外可愛らしいなぁ、って」



するん。と、本音が口をつく。



…と、



……、



またも、目を見開いている伊織くんが、私を見つめている。



 

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