07.大司教様

第16話

「『初めまして。素晴らしき存在』か」


荘厳な椅子に座し、

プリントアウトしたツイートを眺める

キリスト大司教。


「大司教様、また読んでいるんですか?

そのツイート。確か娯らっくでしたよね?」


先ほどノックをし、

大司教の部屋に入ってきた

従者もその紙を見つめる。


「私は素晴らしい存在か?

私はただ神に仕えているだけだが」


はじめまして、素晴らしき存在。


娯らっくの突然の

ツイート。始まりの名文句だった。

その後もちょこちょこ

娯らっくは大司教のTwitterに

ツイを寄せてきた。

主に反戦のツイートだった。


「この娯らっくの言う通り、

十戒が世界にひろがれば、

世界から戦争を根絶できる」


大司教は力を込め、言う。

十戒の十の戒めの中には、

汝、人を殺すなかれがある。

大司教の言葉に従者が反応する。


「全世界が核兵器を放棄して、

世界中の国が、日本を模して

軍隊を自衛隊に置き換えれば、

確かに戦争は起きませんね」


素晴らしい

世界救済の

キャッチボール。


「ミサイル開発をやめ、

宇宙開発やロケット開発に

シフトすればいいという

案もなかなかだ」


そこまで言うと

大司教は立ち上がった。


「ところで、

イリアのカルマン大統領は

逮捕できそうか?」


世界警察の動き、

裏の一人に大司教も居た。


核兵器を使うという

カルマン大統領の宣言に、

100カ国以上が協力し、

世界警察がカルマン大統領の

調査と逮捕に動いていた。


「アイルの一大臣の

暗殺計画、その件でもしかしたら」


従者の言葉。

大司教も口を開く。

威厳に満ちた言葉。


「神は世界平和を

望んでおられる。

決して核兵器など

許さない。


私は神に仕え

全人類を救うだけ」


胸の十字架に手を添える、

大司教。


「素晴らしいです!

大司教様」


そうして、

大司教室の

離れの教会。


聖歌隊の讃美歌が

聞こえる。新しい

讃美歌の練習中だ、

その歌声は

荘厳にて、

練習中とはいえ、

感動を覚える

出来栄えだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る