第55話

その時、竜真の苦しみも悲しみも


背負ってきたことも全部知った。




愛月も脳腫瘍になり、亡くなった後


告別式の日に竜真は1人ボンヤリして


空を見上げながら泣いていた。




俺は知らなかった、どんな思いで


咲美愛ちゃんのそばにいたのか。



いつも何を思っていたのか。



何も知らなかったんだ。




『悠太。』



『なに?』



足音立てずに近づいたのに竜真には


気づかれてしまった。流石だな。




『咲美愛のことよろしくな。』



『竜真?』



『意地はらなきゃ良かった。咲美愛の

人生は咲美愛のものなのに。俺は勝手に

判断してお前も愛月も遠ざけた。』



『正解なんてないよ。あの時知ってたら

俺も愛月も支えてあげられなかった。

だから、竜真でよかったんだよ。』



『そうかな。』

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