第53話

『竜真、咲美愛ちゃんのこと好きなの?』




俺はストレートに聞いた。


直球でぶつけるしかないから。




だけど、竜真の答えは


"好きじゃない。"俺にそう言った。





好きじゃないなら、なんであんなに


仲良くしてるんだよ、愛月の気持ちも


考えろよ、ってキレようかと思った。




俺も好きだけど、愛月も竜真も大切。




だけど、竜真はずっと空をみていて。



口から出そうな言葉を引っ込めた。


その横顔がせつなさそうで。




『竜真?』



『好きじゃない、けど放っておけない。

あの子は1人にしたら消えちゃう。

愛月には、咲美愛の全てを受け入れる

強さは持ってないんだよ。』



『受け入れる?』



『詳しいことは言えない。だけど、

俺もお前も思ってることは一緒だろ?

咲美愛が傷つかなきゃそれでいいって。』



『まあな。』



『運命って残酷なんだよ、悠太。』



『突然どうしたの?』

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