第52話

悠妃:「あ、やべ…」



妃愛:「え、何っ………?」



涙でぐちゃぐちゃの私。


私の本音を話してしまった

恥ずかしさ、怖さから…

逃げ出そうと考えていたら



悠妃くんの焦った声が聞こえる。




悠妃:「妃愛、乗って。竜妃兄と雅妃兄が…居る。見つかりたくないだろ?だから、早く乗って。行くよ。」


妃愛:「行く………って…ちょっと…悠妃くん…………私は……」


悠妃:「うだうだ言ってたって何も変わらないよ。ちょっとバイクデートしよっ!俺に付き合ってよ。」


妃愛:「…………ん、わかった。」




バイクデート………


少し、ドキッとしたのは

悠妃くんには内緒。


泣き笑いのまま、バイクに跨る。



悠妃:「慣れてるじゃん、何〜?朝妃兄?それとも翔馬に乗せてもらってる?」


妃愛:「あっくんにも乗せてもらってた。私は、ともくんのバイク乗ってたよ。翔馬は真面目だから、自分の運転に自信つくまでは乗せてくれないよ。」


悠妃:「ふはっ、めっちゃ大切にされてるじゃん、翔馬からさ。」


妃愛:「………………大切……とか。」


悠妃:「照れてる?認めたら〜?妃愛は翔馬が大切なんだろ〜素直になれよ。」


妃愛:「……………うざっ…………」


悠妃:「あ、照れ隠しね。なるほど。」




背中越しに悠妃くんが

ニヤニヤしているのが、わかる。


妹の恋路を楽しむな、ばか兄貴。



だけど、ありがとう。



気を紛らわせてくれて。

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