第620話

やっと止まっていた時間が動き出した。




10年間という時間は本当に長くて。


咲美愛を2度と手放さないと誓う。




咲美愛がもし、結婚するとき素直に


送り出すことができるのか?



父親として、兄貴として。




咲美愛にとって、俺は兄貴じゃなくて


父親なのだろう。いまさら、俺も


呼び方を変えてもらおうとは思わない。




咲美愛が生まれたときから、


父親として育ててきたんだから。



親父には簡単に渡さない。




いつか、悠太くんに渡すときがくる。




それまでは、父親としてできる限りの


ことはしていくつもりだ。

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