第190話

兄弟達が帰る。



恭吾だけはなぜか残った。


みんな沈黙になる。





何を話していいかわからない。




まだ、現実だと受け止められない。




『咲美愛』


恭吾の怒った声が聞こえる。



恭吾、だめよ。咲美を怒らないで。


恭吾に言わなかったのには理由が

あるんだろうから。




『なに』



『俺は、よっくんから聞いてた』



『え。。。。』





やっぱりね、って思う。


旦那は知っていた。



知っていて、知らないフリをした。




『えみのお母さんと同じ決断。

それでいいのか?』



『いいの。それでいい。』



『簡単な治療じゃないんだ。』



『わかってる。でも言わない。』



『本当にそれでいいのか。』



恭吾の表情が和らぐ。

いつもの恭吾だ。



『美緒姉と同じ決断するとは思わなかった。

頑固なとこは受け継いだんだな。』




そこは受け継がなくて良かったのに

と、言う恭吾。



確かに。美緒の頑固は昔からだ。

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