第146話

恭吾と飲みに行く。



ポツリ、言い始めた。



『今日、NICUいった』



黙って聞く。



『すんげえ、小さいの。小さいのに

私はここにいるよ。生きてるよ。』


『すげえ、がんばってた』


『姉ちゃんの分身』



ガブガブ、お酒を飲む恭吾。



『あのチビ、頑張ってる』



チビじゃねえか、咲美愛か。



『裕貴、ちょこちょこきてるみたい』



『保育器の中にいる、咲美に、

頑張れ、頑張れって言ってる』


そう聞いたんだよ、俺。




裕貴くんも前を向こうとしてる。



『おれ、なさけねぇ。』




おれも怖いよ、恭吾。


会うのが怖いんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る