第71話

保健室の扉を開く。



『あ、拓望だ』


よかった。さっきの真っ青とした

顔色じゃなかった。ホッとした。



『拓望だじゃねえよ。大丈夫なの?』



『だいじょーぶ!だいじょーぶ!

ただの貧血。ごめんね。』



『なんだよ、ビックリさせんなよ』



『わざわざ来てくれたんだ。

ありがとうね。きてくれて。』



『おう。倒れたって聞いたから』



『ふふ、拓望は優しいね。

ありがとうね。』



なんか変な感じ。穏やかだ。



『変なの』



『たまーにはね、ふふふ』



『気持ちわるいわー』



(ねぇ、えみな?あのとき本当は

病気わかっていたの?)


(笑顔で隠そうとしたの?)


(.いつから、いつからだったの?)


(わからない。わからないよ)

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