第30話

「うるさいなあ、朝妃は。

この子、悠妃ね。悠妃って名前だから」



どうやら妃響は、

朝妃を置いて帰ってきたらしい。


そうだと思ってた。



「いいね!悠妃か!ゆうちゃんだな!」


「ゆうちゃん、うん。いいね。」



あっさりと、朝妃の機嫌は直ったらしく、「悠ちゃん可愛い」なんて2人で言ってる。



そんな朝妃、妃響の姿を見れたのが

嬉しくて。泣きそうになるのを堪える。



いつか―――……いつか。



近い将来―――……


朝妃と妃響と酒を呑みたい。

「父さん」って言って欲しい。



そんな、淡い期待を抱かずには

いられなかった。

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