第76話
妃愛。
パパの贖罪を聞いてくれ。
お姉ちゃんの妃葵が生まれてすぐだったんだ、長女の菜緒が亡くなったのは。
お姉ちゃん、菜緒はな?
小児がんで病気と闘ってきたんだけど、妹の妃葵が生まれて、「パパとママ任せたよ!」って感じでバトンタッチしたんだ。
菜緒は2才5ヶ月まで生きて、
妹に生命のバトンを繋げた。
次女、三女、四女って生まれてやっと幸せな家族を築けた…って思ってた矢先、
三女の妃芽乃が新生児死。
悲しみが言えないまま生活を建て直してたら…今度は妃葵が亡くなった。
妃葵も妃芽乃も突然死だった。
" 乳幼児突然死症候群 "って言葉があることは知ってたけど……まさか、自分の子が……とは考えてなかった。
辛くて、悲しくて、毎日泣いた。
結妃には生きてくれ……!と願った。
菜緒、妃葵、妃芽乃の死を背負った結妃。
結妃も自動車事故で亡くなって、俺の世界は真っ暗になった。
結妃に期待をかけすぎたから、俺が結妃を死なせたと思って……苦しんだ。
結妃の死をキッカケにママとパパは喧嘩が増えて離婚してしまったんだ。
その後に生まれたのが妃愛。キミだ。
菜緒とも、妃葵とも、妃芽乃、結妃とも違う。
すぐにわかったよ。俺の子だって。
パパ……は、結妃の二の舞にはならないように……って必死だった。
どうしたら、嫌われないようにできるか……甘えてくれるか?信頼してくれるか?そんなことばかり考えてた。
肝心の、日々の関わりそっちのけで妃愛を失いたくないばかりになってた。
ごめん、ごめんなさい。妃愛。
辛かった、寂しかった気持ち受け止められなくてごめんなさい。
同じことを繰り返してしまった……その後悔が消えないんだ。
もう、ヤケクソだよ。ごめんな。
もう少ししたら、妃愛の元へ逝く。
そうしたら、パパと話してくれるか?
妃愛、キミに会いたい―――……
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