第58話

―――……




「妃愛っ!朝だよっ、起きろ!遅刻するぞっ。」




朝ごはんの準備ができているのに、起きてこない娘を起こしに行く。



毎日だ。平日も、土日も。




毎日―――……





「親父っ……妃愛は、入院してるよ。

ここには居ないんだよっっ……」




毎日、妃愛を起こしに行く俺を止めにくる息子たち。



わかってる。



妃愛は……居ない。家には居ない。



入院していて、意識が戻らない。




頭では理解してるのに、気持ちは現実を受け入れられてない。





「妃愛はッッ……」



「なあ、妃響。妃愛は結妃の犠牲にあったのか?」



「は?」




俺が作り出した、娘の犠牲。




結妃は俺に言っていた。




" お姉ちゃんが亡くなって、その代わりとなった私をこうしたのは、お父さんのせい " だって。





結妃の―――……





結妃が亡くなったから、妃愛は結妃の代わりになって、犠牲になったの?






「結妃も妃愛も苦しませることしか…。

俺は……ッッ、俺はッッ……父親失格だっ。」







失格だ。

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