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第1話

放課後の人が少なくなった廊下。

声をかけられ、足を止めた事を今すごく後悔してる。



「原田、頼む‼︎ 財部たからべに勉強を教えてやってくれ。あいつにこれ以上の欠点はまずい。

ひじょーにまずい、俺の学年主任がかかってるんだよ。頼む、なっ、原田なら何とかなるだろ?」


「─…無理ですよ、先生が教えたらいいじゃないですか。」


「俺はさ、ほら他にもいて時間がないんだよ。頼む!今日から残るように言ってあるから、

とりあえず教室行ってくれ!3組な、」


逃げるように言い残し、走り去って行く先生の背中に手を伸ばそうとしたけど届くわけもなくて、颯爽と角を曲がり消えていく姿を呆然と眺めた。


「…どうしよ。財部って、誰?」



とりあえず落ち着こうとトイレへ向かい、

手を洗う。

正面の鏡に映るのは黒縁メガネに長い髪を後ろで結んだ真面目そうな自分。

もちろんスカートは膝丈。

お世辞にも可愛いとは言えない姿を確認すると小さく息を吐き、仕方なく3組へ向かった。



壁に身を隠し、開いているドアからこっそり

中を覗くとキチッと姿勢を正して机に向かう男の子が目に入る。

私と同じ黒縁メガネに長めの髪をハーフアップに結んであって、何かを必死で解いている様子。




…あの人?

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