01.はじまりは

第1話

「これ! ちょ、まじ

俺? ちょー綺麗!」


ふさふさのまつ毛

目元の涙袋には

青い月と金色のお星さまが

きらきら


藤村薫が

鏡に映る自ら顔を

見てうっとりする。


ここは楽屋のメイク室。

楽屋そのものは

そう明るくはないのだが、

メイク鏡だけは

やたらとこうこうと

照らされている。


「あっと、動かないでくださいよ。

リップがずれるから」


とメイクさん。

さっぱりとした

美人でいかにも

メイクに長けてそうな

顔をしている。


「うはー!

なんて美しいんだ!」


メイクさんの

言葉を無視して

椅子から立ち上がる薫。

立体的なフリルの

ミニスカートが

揺れる。淡いブルーだ。


「もー!

メイクやめますよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る