「ねぇ、侑介くん。」



『ぅ……あ…っ……』



「蝉になったらさ、」



『さわる…さわるよっ……』



「侑介くんを真っ先に探すから、」



『蝉にでも…何でも…何でも触るからっ!』



「だから、」



『だからっ、』



「会いに行っていい?」



『会いに来て…っ。』





蝉川さんは、泣きながら笑った。





俺が見た、最初で最後の、蝉川さんのたった1粒の涙。

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