第62話
◆◆◆◆◆
それから歩く事およそ15分で──とうとう最初に言ってた『学校の近くの角、二つ前の所』に辿り着いた。
道中は、『目立ちすぎるから』っていう理由からSPの人達や猪熊さんは離れた所から見守る役に徹してくれたし、万亀の爽やか笑顔にきゃあきゃあする女子(おばさま方も含む)たちの事を除けば案外そこまで悪目立ちする事なく来れた。
そうして万亀と話した事って言ったら本当にたわいもない事で、天気の事とか今日の授業の事とか、そんなもんだった。
まぁ15分しか話してないって事もあるけど……。
そんなちょっとの間の為だけに万亀がわざわざうちにやってきて待っててくれたなんて、やっぱりちょっと申し訳ない気分になるわ。
だからってどうするってわけでもないんだけど。
とにもかくにもこれ以上万亀と歩いて学校まで行っちゃうと、まぁたややこしい噂が立つのは絶対間違いない。
私は「それじゃあ、」と至って明るく口を開いた。
「ここで。
また学校でね」
言うと、途端に万亀の顔がしゅうんと悲しげに沈む。
その顔を見るとついつい置いてけぼりの子犬を連想させてしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます