第92話





「……。」



「……?」





ヘルメットを見つめたまま動かない莉茉に俺は首を捻る。





「…莉茉、どうした?」





顔を覗き込めば、莉茉は恥ずかしそうに目をさ迷わせた。





「…すみません。」



「うん?」



「…付け方が分からないです…。」




涙目の莉茉に俺は吹き出す。





「早く、そう言えよ」




笑いながら莉茉からヘルメットを取り上げ、付けてやる。

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