第78話




どくどくと心臓が鳴る。



ガクガク震えそうになる足を必死に持ち堪え、玄関のドアを握る手に力を込めた。




「っ、もう行くね!」



茉莉からの視線から背を向け、玄関を押し開ける。



「…行ってきます…。」



「……。」



ーーーパタン。




…………ドアが閉まっても、茉莉からの声は聞こえなかった。

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