花の芽生え
桜
第1話
『本日のゲストは、今年、国宝級イケメンランキング1位にも輝いた〜!』
何インチというか分からないけど、見たこともないくらい大きな大きなテレビには、興奮気味な女子アナと、キラキラに装飾されたテロップが映し出される。
そんな大きなテレビの前で、とてもふかふかそうで、これまた大きなソファーに座る彼が、夕食の準備が終わり、声をかけようと背後に近寄った私の方を振り返った。
『
画面に映るのは、ぱっちり二重の大きな目、すっと通った鼻筋に、バランスのとれた桜色の薄い唇、陶器のような白い肌に、柔らかなそうなふわふわで明るい茶色い髪の、今をときめく若手俳優。
「あのーさえちゃん…」
''佐倉日向"がニコッと笑って白い歯を見せれば、スタジオのお客さんの黄色い歓声があがった。
「なんですか、
目の前の彼は少し目を泳がせると、画面に映る満面の笑みより控えめに、困ったように笑った。
「さすがに奥さんの前で、これを見られるのは恥ずかしいから消していいかな?」
国宝級イケメン俳優と名高い、芸名、佐倉日向、もとい目の前に座る
「…別に構いませんよ。………それに、」
私、都内の高校に通う、
本日、
「私たち、利害関係が一致した契約結婚なんですから、恥ずかしがることはありません。」
「それとこれとは違うのー!」
結婚、の契約を、いたしました。
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