第6話
学校へと近付くにつれて徐々に同じ制服を着た生徒たちが周囲に増えていく。
紅葉と圭は一緒に登校してはいるが、途中でどちらかが友人に会えた場合は、その場で別行動することにしている。
今日は圭が前を歩いている友人を見つけたようで、その場で「またね」と互いに別れた。
それを提案したのは紅葉からだったが、圭も特に異論はないようだった。
それは敢えて『二人』に固執する理由が元々ないことと、周囲に色々勘ぐられたくないというのが要因の一つであった。
いつか圭ちゃんにも彼女とかが出来るかも知れない。
そうなった時に自分が邪魔な存在にはなりたくない。
圭には話していないが、それが紅葉の本音だった。
普通に二人が幼馴染みであることは友人たちは既に知っていることだし今更隠すつもりはないが、そこを過剰にアピールするつもりもないのだ。
実を言うと、それには中学時代に圭を好きだという女子に逆恨みされ、トラブルに巻き込まれたことが根底にあったりするのだが、そんな事実があったことを圭は知らないし、紅葉自身も話すつもりはなかった。
それでも家族のような存在である圭との時間は、紅葉にとって大切で貴重な時間に違いなくて。
せめて圭ちゃんに特別な人が出来るまでは…。
(この僅かな登校時間位はひとり占めしても、いいよね?)
紅葉が教室へと到着すると、既に多くの生徒たちが登校してきていてクラス内はとても賑やかだった。
ちなみに圭は隣のクラスである。
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