第30話
当前だが、朝霧はもう既に服を着用していて。
ラフなTシャツ姿が何だか新鮮だった。
(学校で見る朝霧とは全然雰囲気が違う。服装が変わるだけで、随分とイメージも変わるもんなんだなぁ…)
実琴は目を丸くした。
今日は、そんなのばっかりだ。
朝霧は手の中の実琴をそっと優しく撫でると、何かを考えるような素振りを見せた。
そうして、何かを思いついたのか実琴を机の上まで運び乗せると「少し大人しくしていろ」と自らも椅子に座り、机の引き出しを開けたりして何かを探し始めた。
『………?』
言われるままに大人しくそこに腰を下ろし、そんな朝霧の様子を眺めていた実琴だったが。
(実際、普通のネコちゃんなら「大人しくしていろ」なんて言われたところで、言うことなんか聞くはずないよね…?)
なんて思っていた。
それでも朝霧が何をしたいのか気になったので、大人しく見ていたけれど。
その数分後。
実琴の首には、細い小さな首輪が付けられていた。
とは言っても既製品などではなく、細い紐に小さな鈴を通しただけの朝霧お手製のものだ。
(なにこれ、カワイイ…)
小さな鈴は、実琴が動くたびにチリチリと鳴った。
不本意ながらにも猫になってしまっている身としては、鈴の音が何だかいかにも猫らしくて可愛くて、ちょっぴり嬉しい気がした。
実際に本物の猫ならば、こんな窮屈な物をぶら下げたくはないのだろうけど。
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