第6話

ヒルダとの初詣に向かう。

しかし、ヒルダはまだ来ていない。

少し早すぎたか?


その時だった。


ソウマらしき声がした。

出会うのだけは、しないようにしておくか。


ヒルダとの二人きりの時間を邪魔されそうな気がするからな。


だが、時既に遅し。


「西園寺!珍しいな~お前も初詣かよ?」


「ああ……そうだ」


仕方なく、返事をする。

ソウマがここにいる理由は、この神社がクレハ君の実家だからだな。


「西園寺先輩。お待たせしました!って、あれ?」


「ソウマ、あっちでクレハ君が困っていたぞ。行ったらどうだ?」


わざとそう言う。

それを本気にしたのか、すぐにソウマはいなくなる。


「ヒルダ、おみくじを引くか?」


「はい!」


おみくじを引くと、彼女は驚いたような表情をした。

よくない事でも書かれていたのだろうか?


「凄いです!大吉です!気になる人と二人で過ごす時間が多くなるって書いてあります」


「そうか……良かったな」


気になる人という単語に動揺しそうになる。

彼女は嬉しそうにおみくじを結んでいる。


「先輩は?」


「中吉だ」


そして、俺のおみくじも恋愛に関しては同じ事が書いてあった。



だけど、言わなかった。


まだ、今のままの関係でいたかったから。


俺は彼女を見つめながら、そう思った。






end,,

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