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 板橋凪いたばし なぎには、小学6年生の頃に好きな男の子がいた。名前は伊吹くん。



 どんな所が好きになったの?とか聞かれたら。

 例えば、掃除当番の時に伊吹くんは当番じゃないのに、ゴミをさり気なくゴミ捨て場に持って行ってくれたりとか。



 雨に濡れた時にハンカチを貸してくれたり。



 男子がフザけてぶつかってきた時に「謝れ」って彼らに言ってくれたり。



 小学生がキュンとするポイントなんて、大体そんな些細なもんだろう。

 暫くしてお互いが両想いだって事が判明して、じゃあ…って付き合ってみる事になった。



 凪は素直に嬉しかった。

 好きな人と一緒に登下校できたり、手を繋いだり。

 伊吹くんも強烈に意識してたんじゃないかと思う。

 いつも顔が真っ赤だったから。



 でもある時から突然、彼の態度が変わっていった。

 理由を尋ねたらこんな事を言われた。



 「お前…妹の杏奈をいじめてるんだって?」



 あれ。何て言うのかな。寝耳に水。青天の霹靂?思ってもみない事態に陥ってたのを、ようやく気付かされた瞬間だったけど。

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