役者業

第4話

~スタジオ~


今日の仕事は映画の撮影です。


言い忘れましたが、私は役者をさせて頂いています。


ぜんぜん知名度はありませんが…。


映画の撮影と言っても、端役も端役でチンピラAなのです。


家族や友達には、格好良く映画の撮影に行ってくるよと見栄を張っていますが…


実際は台詞もなく、どこに映っているのか探さなければならないくらい。


だから、バレるのが恥ずかしいし嫌なので上映される日時や題名は敢えて教えない事にしている。


それでもたまに思い出したかのように映画情報を聞かれる時があるので、その時は全力で誤魔化しますがね。


本編に戻ります。


私は今朝の電車の中の出来事を役者仲間に話した。


すると一人の役者が、ちゃかしてこう言うのです。


役者仲間「電話番号とかメアド聞いたのか?」


私「いや…それが名前も…。」


役者仲間「聞いて無いのか。じゃあ、連絡できないじゃん。」


私「しょうがないよ、そんな状況じゃなかったし…。」


悪乗りした役者仲間がリストカットの仕草をしてー


役者仲間「どうする?また今頃…。」


私「やめろ!縁起でもない!」


役者仲間「すまん…。」


しかし、図星である。あの無数の傷跡を見てしまっては否定出来ない…。

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