神がかり

第95話

「よし、じゃあ君が再就職出来るように祈願して、最後にもう一曲いくか~!」




「おっいいですね太郎さん!俺ガンガン弾きますよ!」




「本当ですか、ありがとうございます」




「さすが太郎ちゃんや、ええとこあるわ」




「よっ!待ってました!」




「1・2・1・2・3・4!」




「イエ~イ!」




次の瞬間、何処から途もなく汽笛が聞こえ、SL機関車の煙突から勢い良く煙が吹き出したかの様に見えた!




その煙に包まれる太郎。




まるで神がかったようにパフォーマンスを始める。




その神々しい光景に、目を惹かれたサラリーマン達が続々集まって来る。




間違いなく、太郎のライブ史上で一番のお客の数であろう。



しかも驚いた事に、恒例の“みんな一緒に”をサラリーマン達もやっている。




初めて見る光景である。




いったい何が起こっているのだろう。




有ろう事か、他のパフォーマー達も参加し始める始末に。




もうその規模は、小さなお祭り位まで膨れ上がっていた。




スーパーSL広場が音を立てて揺れている。




まるで、SL機関車が動き出したかの様に。

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