1人カラオケ

第42話

さっきまで、あんなにどしゃ降りだった雨が嘘のように止んだ。




幸せ者は外出する準備をし部屋を出た。



口笛を吹きながら陽気に駅の方に歩いて行く。




駅に着くと、しばらく駅周辺をうろき始めた。




そして、雑居ビル前に立ちはだかる。




それから周りを確認し、いきなり小走りで入っていった。




そのビルの中には、カラオケBOXがあったのです。




カラオケBOXにー



おっさん1人で。




「いらっしゃいませ!」




「何名様でしょうか?」




「あっ…あの…2人です」




「お連れ様の姿が、見えないですが」




うろたえる幸せ者。



「あわわ…あとから…きききます」




「かしこまりました!」




「ご利用時間の方は、どう致しましょう」




「ふふふたりだから…とととりあえず2時間で」




「では、205号室になります」




「ああっはい…」




「それでは、ごゆっくりどうぞ!」




念を押すようにー




「あとからすぐ来るから…」




笑顔で見送る店員。

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