近眼

第34話

「通ったど~!」




奇跡である。




あのベトベトの糸が針の穴を通るなんて。




ありえない事が起こった。




奇跡を呼ぶ男、幸せ者。




そして、やっと縫う工程に進んだ。




そんなに近づいたら危ないよ!




目に針が刺さったら、どうするの。




目とシャツの距離、僅か3cm。




見ているこっちが、冷や冷やする。




そう、幸せ者は近眼だったのです。




それも「ど」が付くくらい。




「痛っ!」




しかも、不器用。




「痛っ」




また、針で指を刺したようです。




ど近眼で不器用。




絶対に裁縫には、向いてないでしょう。

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