おいしい水

第17話

男は、高級住宅街を駆け抜けて行く。




いったい何処に向かっているのか。




走る男。




曲がる路地を1本間違えたのか、引き返して、慌てて走り去って行った。




「はぁはぁはぁ」




「はぁ…はぁはぁ」



息を切らす男。




吐息だけ聞いていると、立派な変質者である。




やっと辿り着いた。



辿り着い場所は公園であった。




男は一目散に、中央にある水飲み場へ向かった。




そして、勢い良く飲み出した。




飲んでいる。




随分飲んでいる。




まだ飲んでいる。




かれこれ2、3分は飲んでいる。




「ぷはぁ~!」




まるで、ひとくち目のビールを飲んだようなリアクション。



勘違いなさらぬよう、男が飲んでいたのは“水”である。




それも公園の。

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