※要15歳

1

「おい、坊主大きくなったらうちで働け」


その言葉を忘れる日はなかった。


けして裕福ではなかった俺の家は、その日食い物にも困って、食物を買うお金さえなく、親子で窃盗。


最初は上手くいっていたが、ある日父親が捕まった。


母親は新しい男と家を出て行ったっきり、帰ってこなかった。


俺は施設に預けられ、一度そこで会った怖い顔をしたおじさんに


「おじさんは仕事してるの?」


どんな話からそう言う会話になったのか未だに思い出せないが…


「おじさんはな、困ってる人を助ける仕事をしてるんだ。なぁ坊主大きくなったら、おじさんとこで一緒に働くか?」


「うん!ぼく大きくなったらぜったい、ぜったい、おじさんとこいくね!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る