第36話

「大丈夫か…」


そんな言葉しかかけれなかった。


その前に会った時は、不倫なんてさっさと、やめろと言った俺が、何心配してんだと後で少し、から笑いだった。


結局おれはアイツの事心配していたのか…


直ぐに俺だと気が付かなかったアイツにほんの少し意地悪をしたかっただけじゃないのか…


別れたと聞いてから数日後、俺は夢を見ていた。


アイツが俺の前から消えてしまう夢を…


墓石の前で手を合わせている俺は歳だけは取っていた。


起きた後も夢なのか現実なのかわからなくなって、確かめる為だけにアイツに電話をかけたんだ。


『どうしたの?』


アイツの声は思った以上に明るくて、むしろ何しにかけてきたと、言わんばかりの勢いで


『今日からまた舞台の稽古始まるし、暇じゃないのよ!あっ、もしかして私が馬鹿なことでもしたと思ってかけてきた?』


俺の心読まれてる。


「ありがとう。でも大丈夫よ私そんな事で死なないから!」


「だよな!おう、じゃまたな!」

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