18
ランニングウエアに着替え、髪を一本に結わいて、ボディバッグにペットボトルと携帯を入れ部屋を出た。
母屋を通らず、裏口から屋敷をでて、藤崎の家に向かう途中の道を左に曲がり、欅の木のアーケードの下を走り抜けた。
この辺りは一面田畑が広がり、また少しずつ住宅の屋根が見え始めた。
家の入口に芝を敷き詰めた、さほど大きくも無い平屋建ての一軒家、そこは藤崎甫と、八重子、そしてその家の番犬クロが住む。
庭先まで来ると、一瞬吠えられはしたが、アタシがわかったのか、飛び跳ねて喜ぶクロと少しだけじゃれて遊んでいると
「クロ!どうしたの?あら?」
「八重ちゃん!久々にきちゃったわ~」
八重ちゃんは呆れたように
「あのね、来る前に電話くらいして来なさいよ、私もさっき帰って来たのよ」
「あら、ナイスなタイミングね!」
「ちょっとついでにクロの散歩よろしくね」
八重ちゃんからのお願いは断れないのよね…
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