第56話
「紅竜から逃げたんじゃなくて、雷神から逃げてるんじゃないのか?」
ついに核心を迫られ、歯を食いしばり膝の上にのせていた手をぎゅっと握りしめた。
「私は…」
もう、洗いざらい言うしかない。
「9月7日に雷神に攫われ、助けに来た紅竜と雷神が争ってる間に私を監視してた男の目を盗んで逃げだしたんです。非常口に向かおうと角を曲がったら手すりが外れてそのまま下に…っ」
思い出すだけで、あの時の恐怖が蘇る。
「落ちて…その後の記憶はなくて、目が覚めたら2ヶ月前に戻ってました」
「…どういう事だ」
久我昴に問われたが、それを一番知りたいのは私だ。
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