第11話

~菜穂side~


「また来るから」


ってもう来なくて良いんですけど。


翌朝、リビングに行くと土曜日なのに両親はいなかった。


「そんなに仕事が大切ですかね。

ま、私もバイトなんだけど」


昨日のあの坊ちゃんアイドルのセリフが頭で何度も再生される。


パンを咥えながらテレビをつける。


「げっ」


あの坊ちゃんアイドルがテレビに出ていた。


「まーたあの胡散臭い笑顔。

まぁアイドルなんだし当たり前か…」


「玲央君は好きな人が出来たら自分でアタックするタイプですか?」


「そうですねー。本気で好きな人が出来たら真っすぐ行けたらいいですね」


こういう人でも人を好きになったりするんだろうか。

それこそシンデレラみたいなストーリーなんだろうな…。


時計を見てバイトの時間に間に合うように支度をして家を出る。


バイト先に行くと土曜日だからかいつもより混んでいた。


「変わります」

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