第36話

――――――、






「どうだ、久しぶりの溜まり場は?」


倉庫に着いた。


ハンドルに手をかけたまま助手席に座る陽をみる。



「……変わってないな」


目を細め倉庫をじっと見つめてそう呟く。


「普通に帰って来たみたいだ…」


っ、


その言葉に一瞬息が止まる。




「…ったく、眠りすぎなんだよ」


「陽、おかえり」


懐かしむように倉庫を見つめる陽に後部座席からふたりの声が飛ぶ。



「そうだな、ちょっと休み過ぎた」


冗談を軽く受け流すような言葉と表情とは反対に眼だけは真剣だった。

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