17. ストレスと孤独

17-1

初出勤の翌朝。


前夜のことを思い出して憂鬱になりながらも、私はどうにか外に出た。

やることが山ほどあった。



携帯番号の変更。


それから、店で使うポーチとサンダルを買った。

部屋にカーテンがついていなかったから、カーテンを買った。

消耗品も、ホムセンで一通り揃えた。


キッチン用品が何もないから100円ショップに見に行ったが、長く使えるやつを買おうと思い直し少しずつ揃えることにした。


ただ、とりあえず炊飯器だけは先に買った。

御飯さえ炊ければ、どうにかなると思ったから。



それから、住所変更の類。

転出証明書のことを知らずそのまま出て来てしまったから、郵送で少し時間がかかってしまった。


後日住所変更が出来てから、借金している会社にも全て住所変更を申し出た。



そして持って来たお金で、まずはどうにか2社完済。

紹介屋を使って借りたのは既にブラックになった後だったから、1社あたりの借りた額はそんなに多くない。


利息とか難しいことはよく分からなくて、なんとなくヤバそうなところから完済することにした。



このままいけば、数ヶ月で辞められるな…早く返して、早く辞めなきゃ。

そう思っていた。

だから出来るだけ返済に回して、慎ましやかに生活していた。


返済にお金を回しすぎて苦しい時は、粉末のカップスープにパン粉を入れて飲んで(?)いた。

お腹結構膨れるんだよね、これがまた。



店が終わると楽しそうに飲みや食事に向かう女の子たちを尻目に、私はさっさと帰宅した。


付き合いを深めてしまえば、お金がそれなりにかかる様になるのを私は知っていた。

だから女の子たちとは必要以上に距離を縮めず、極力仲良くならない様にした。



長くいるわけじゃないから。

今だけだから。

別に淋しくない。

どうってことない。

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