３章　叶わない恋

「重大な発表があります。」

リビングの机の前に正座して、花乃は重々しく那津に話し始めた。

そのいつもとは違う花乃の緊張感ある雰囲気に、那津も大人しく従った。そして、怪訝そうな表情で尋ねた。

「何だよ急に。」

花乃はスマホを操作して、メッセージ画面を表示し、すっと、那津へと見せた。

那津は大人しくそのメッセージに視線を向ける。そして、目を丸くした。

「お姉ちゃんが東京に来てます。」

「葉月さんが……。」

「しかも1人で。」

那津はぎゅっと唇を噛み締めて、黙り込んだ。

その様子に、花乃は胸を締め付けられる。

「ねえ、那津。」

花乃は、前のめりになって那津に話しかけた。

那津が失恋して９年。

ーーそろそろ、いいと思うんだ。

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