第115話

生まれた時に聞いた声が聞こえる。


暴力的に投げ出されるようにこの世に来た叫び。


生温かい体液が手を包んだ。


わたしは、もう一度生まれ変わる。今度は、ただの人間として。


体の内容物がはみ出し、鉄の臭いをさせていた。これは、生まれた時に嗅いだ生臭い臭い。


「久しぶりだね。和菜ちゃんとこうして一緒に寝るのは。懐かしいな」


それは、保育園の頃だった。和菜と千歳は布団を並べてお昼寝していた。

和菜は嬉しそうにこちらを見てから目をつぶった。


千歳は、かつて和菜だったただの肉塊のとなりに寝ころんでいた。彼女の内臓に手を入れて、丸くなって目を閉じる。

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