第10話
次の日、私は少し早めに出勤し、シャインマスカットの大きさを選別していた。
9時出勤の未来ちゃんは、時間が過ぎてもまだ来てなくて、9時30分勤務の、侑くんの方が先に到着した。
「お、お、おはようございます。今日は、よろしくお願いします」
「侑くんおはよう。今日は宜しくね。まだ1人来ていないから、ちょっと待ってね」
私は、クリーニング済みのエプロンをビニール袋から取り出し、侑くんに渡したのだが、彼は、エプロンをうまく着られず、紐がダラリと床に付いていた。
「エプロンって案外難しいよね。私が後ろを結んであげるね」
私は、彼のエプロンの紐をクロスさせ、金具に通し、リボン結びをしてあげた。
「おはようございます。あっ、なんか沙也加さん、その子のお母さんみたい」
ちょうどその時、何食わぬ顔で未来ちゃんは出勤し、私を揶揄った。
「未来ちゃん――30分遅刻だよ」
「えへっ。昨日、イベントあって、疲れて寝坊しました」
「侑くんが手伝いに来てくれているのに、待たせたらだめでしょ」
私の言葉に、未来ちゃんは悪びれることなく、こう話した。
「もし、沙也加さんが遅刻したら、今度は私が、内緒にしますから」
そして隣で待っていた、侑くんにも口止めをした。
「未来です。よろしく……侑くんだっけ?私が遅刻したこと、内緒だよ」
――彼女は、時々遅刻をする。
決まって奥さんのいない日だ。
初めは5分ぐらいだった。
それが10分、15分と長くなり、今日は記録更新の30分遅刻だ。
まぁ、遅刻したらその分給料が減るのだから、別に気に留めていなかったが、
さっき彼女が言った『内緒だよ』が気になった。
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